暗号資産交換業者の登録要件と手続
投稿日:2025年4月25日
1 登録制度の位置づけ
資金決済法は、暗号資産交換業を「暗号資産の売買・交換やその媒介、利用者資金の管理、他人の暗号資産の管理を業として行う行為」と定義し、内閣総理大臣(実際の窓口は金融庁・財務局)の登録制を導入しています。
登録を受けずに事業を行えば刑事罰の対象となるため、最初の一歩から厳格な法令理解が不可欠です。
2 登録要件の概要
- 法人格と国内拠点
申請者は株式会社か国内に営業所を置く外国法人でなければなりません。さらに外国法人の場合は日本在住の代表者が必要です。 - 財産的基礎
「財産的基礎」に関する内閣府令基準(自己資本規制比率・純資産額など)を満たしていること。十分な資本がなければ登録は拒否されます。 - 業務運営体制
・利用者資産の分別管理・信託義務
・サイバーセキュリティ、内部監査、AML/CFT(マネロン・テロ資金供与対策)、トラベルルール対応
・広告・勧誘体制 など、銀行等と同等の統制が求められます。 - 役員等の適格性
役員・会計参与に破産・禁錮刑・業務取消処分歴がないか、暴力団関与がないか等を詳細に確認します。 - 自主規制協会への対応
日本暗号資産取引業協会(JVCEA)への加入または同等の社内規程整備が必須です。登録業者の大半は1種会員として加盟し、最新では32が活動しています(2025年4月現在) - 商号の独自性
他社と紛らわしい商号では受理されません。
3 申請書類とプロセス
- 登録申請書(商号・資本金・役員・営業所・取扱暗号資産など)
- 誓約書
- 事業計画書・収益試算
- 内部管理規程一式・システム構成図
- AML/CFTポリシー、サイバー対策方針
- JVCEA加入証明または社内規程
4 最近の審査動向と留意点
サイバーセキュリティ強化:コールドウォレット比率、秘密鍵管理プロセス、BCP・CPの制定など定量・定性双方の裏付けが必須。
AML高度化:FATF勧告に沿ったトラベルルール対応状況が審査ポイント。
財務健全性:暗号資産価格急変で自己資本が毀損しないストレスシナリオを提示すると評価が高い。
まとめ
暗号資産交換業者の登録は、単に「資本金を積めば良い」わけではなく、銀行並みのガバナンスとAML体制を備えた上で、急速に変化する技術・国際基準に追随する必要があります。
まずは気軽に事前相談をしましょう。現状ギャップを可視化し、スムーズな市場参入を実現しましょう。
(著者:徐)
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