暗号資産とは何か?――資金決済法の定義を基点に整理
投稿日:2025年4月25日
インターネット上では「仮想通貨」「デジタルトークン」など多様な呼称が飛び交いますが、日本で公式に用いられる言葉は「暗号資産」です。
本稿では、資金決済法の条文を出発点として、暗号資産の法的な位置付けと実務上のポイントを解説します。
1 資金決済法が示す2類型
資金決済法は、暗号資産を「(1) 決済手段型」と「(2) 交換媒介型」の2類型に区分しています。
第1号暗号資産(決済手段型)
- 不特定多数との間で商品の購入やサービスの対価支払いに用いることができ
- 不特定多数との売買が可能
- 電子的に記録・移転できる価値
- ※日本円・外貨・預金など通貨建て資産は除外
第2号暗号資産(交換媒介型)
(上記の第1号暗号資産と相互に交換可能な電子的価値)
2 電子記録移転権利等との線引き
2020年の金融商品取引法改正で「電子記録移転権利(セキュリティトークン)」が定義されました。
株式・社債などに準ずる投資性トークンは「暗号資産」から除外され、金融商品取引法の対象になります。
したがって、同じブロックチェーン上のトークンでも、投資性の有無が規制の分岐点になります。
3 ステーブルコインはどこに該当するか
資金決済法では、法定通貨等に価値を連動させた「電子決済手段(いわゆるステーブルコイン)」が定義され、銀行・資金移動業者・信託会社等のみが発行主体になれる枠組みが導入されました。
価格が安定していても、電子決済手段に該当しないトークンは依然として暗号資産の範疇に入ります。
4 暗号資産交換業者との関係
資金決済法は、暗号資産の売買・他暗号資産との交換、その媒介・取次ぎ・代理、顧客資金の管理、さらに「他人のための暗号資産管理」を業務として行う場合を「暗号資産交換業」と定義しています。
実際に取引サービスを提供するには登録が必須で、営業所や役員構成、マネロン対策体制など厳格な基準をクリアする必要があります。
登録事業者一覧は金融庁サイトで公開されており、利用者保護の第一歩は「登録業者であるか」を確認することです。
まとめ
暗号資産の定義は「ブロックチェーン上のトークン」よりも狭く、「通貨建てでない電子的価値」であることがポイントです。
さらに、投資性トークンや電子決済手段が新設されたことで目的別のレイヤー分けが一段と明確化しました。
正確な区分を押さえることは、利用者の保護だけでなく、スタートアップや金融機関が安心してイノベーションに挑戦する土台にもなります。
弊社では、事業者の方がスムーズに登録できるように、適切なサポートをします。
(著者:徐)