トピックス

承認送信事業者制度の実務解説

―電子化する免税制度にどう対応するか?今こそ知っておきたい制度の全体像と導入メリット―

インバウンド需要が回復傾向にある中、訪日外国人による免税品購入も再び活発化しています。輸出物品販売場(免税店)を利用する消費者は年々増加しています。

1|承認送信事業者とは? ― デジタル免税制度の要

承認送信事業者とは、輸出物品販売場(免税店)に代わり、購入記録情報を国税庁に電子的に送信する事業者です。

免税販売にかかる煩雑な手続を外部に委託できるようにすることで、免税店側の事務負担軽減と手続の標準化・電子化の促進を目的としています。

特に中小規模の免税店では、自社で電子化対応システムを構築するのが困難なケースも多く、こうしたニーズに対応する外部支援プレイヤーとして、承認送信事業者の役割は今後ますます注目されるでしょう。

2|承認送信事業者になるための主な要件

国税庁が定める承認基準に基づき、以下のような条件をクリアする必要があります:

  • 国税の滞納がないこと
    過去に重大な滞納歴がある場合、承認を受けるのは困難です。
  • 購入記録情報の電子送信体制があること
    免税店から受け取った購入記録を、国税庁へ電子的に正確・迅速に送信できる体制が必要です。
  • 行政処分歴がないこと
    過去に承認取消しを受けている場合、原則3年間は再申請不可です。
  • 免税店との契約関係が整っていること
    実際の業務を行うには、販売場事業者(免税店)との契約書が必要です。申請時点では契約書の雛形提出でも可とされています。

3|導入のメリット ― 単なる代行ではなく“新規事業の起点”に

1インバウンド市場への新たな参入機会

小規模な免税店にとっては、電子化対応は大きなハードルです。こうした免税店とパートナーシップを結ぶことで、IT支援・運用代行・制度コンサルなどの新たなビジネス展開が可能になります。

特に2026年の免税制度改正により、購入時免税から「リファンド方式」へ完全移行することで、免税店の事務負担が激増する見込みです。
承認送信事業者の役割は、単なる“送信代行”から“制度運用の中核支援者”へと進化していくことが想定されます。

2事業基盤・ネットワークの拡大

観光業・流通業・IT業界など、他業種との連携によって横断的な顧客ネットワークの構築が可能です。
行政・地方自治体との協働機会も見込まれます。

3対外的な信頼性の向上

「承認送信事業者」として国税庁に認定されることは、一定の法令遵守体制と業務品質がある企業としての公的な信用力を獲得することにつながります。

まとめ ― 電子化時代の制度対応は「先行者」が優位に立つ

免税制度は今、大きな転換点を迎えています。制度が変わる時期こそ、新たなビジネスモデルが生まれ、差がつく瞬間です。

承認送信事業者という制度は、単なる行政手続の枠を超え、デジタルとリアルが交差する観光・小売・行政支援の最前線として、これからの社会インフラを担う可能性を秘めています。

制度に関心がある企業・団体様、あるいは行政支援ビジネスに新たなチャンスを求める方は、ぜひ早期の情報収集と申請準備をご検討ください。

(著者:徐)