個別信用購入あっせん業者の登録制度──信頼できる立替払いサービスを運営するために
投稿日:2025年4月25日
個別信用購入あっせんは、消費者がその場でカードをつくらなくても、高額商品や長期サービスを分割払いで利用できる便利な仕組みです。
しかし便利さの裏側では、①信販会社が立替えを行う資金力、②トラブル時に消費者を守る体制、③反社会勢力排除、という三つの安全弁が欠かせません。
割賦販売法では「登録簿への記載」を義務化し、事業者は財務面・ガバナンス面・反社チェックなどを事前に審査されます。
登録番号が付与されると、業者の名称・所在地・役員・純資産額・登録日が一般公開され、市場全体の透明性が確保されます。
1|登録申請に必要な4つの核心情報
法人名
本店・営業所の所在地
純資産額(資産-負債)
○ 純資産額が政令で定める額(5,000万 円)以上
2|登録が拒否される主なケース
純資産が基準未満
最近5年以内に登録取消し・罰金刑がある
破産復権前の者や暴力団員等が役員
反社会的勢力の支配・関与
苦情処理や支払能力調査など内部体制が不備
3|更新と変更届―“メンテナンス”を怠らない
登録は3年ごと更新(第35条の3の27)。更新申請中に処分が下りなければ、審査完了まで旧登録が有効なので営業が止まる心配はありません。
登録後に商号・所在地・役員が変わったら遅滞なく届け出(第35条の3の28)。
登録簿は誰でも閲覧可能(第35条の3の29)で、透明性を確保します。さらに
• 名義貸し禁止:自社名で第三者に業務を営ませる行為は違法(第35条の3の30)。
• 内部統制:支払能力調査や苦情処理を確実に行う体制を維持。
など登録取得後も多岐にわたるルールを順守しつつ、利用者保護と事業の透明性を維持することが求められます。
4|登録取消しがビジネスへ与える影響
登録を失うと、新規取引は当然停止。
さらに既存の提携販売店は将来に向かって契約を解除できるため、一気に販売チャネルを失うリスクがあります。
取消し後も「既存ローンを完済させる目的の範囲」でのみ業務継続が認められますが、新規立替えは不可になります。
登録取消しで新規取引が停止し、既存債権の回収のみが認められるため、資金繰りが一気にひっ迫し、事業継続が困難となるリスクを認識しておきましょう。
5|実務で押さえるべき三つの勘所
- 資本政策――基準純資産を下回らないよう増資や利益留保を計画的に。
- ガバナンス――取締役会議事録や内部監査記録を整備し、体制不備を指摘されても即説明できるようにする。
- ライフサイクル管理――変更届・更新申請のスケジュールを社内カレンダーに組み込み、担当不在や資料欠落を防止する。
弊社では以下のサポートをしています。
【サポート内容】
• 書類の作成
申請書や社内規則、チェックシートといった書類一式の作成を行います。
一部作成ができない書類(収支計画書など)があります。
• 当局との連絡、折衝
当局との連絡窓口を代行します。
• 当局面談の同席
当局との面談に同席します。基本的に事業者主導とはなりますが、事前に弊社と演習が可能です。
• 登録申請に関わるアドバイス
• 当局からの質問及び補正の対応
• 信用情報機関(CIC等)、日本クレジット協会への手続き
加盟に必要な提出書類の作成等を行います。
(著者:徐)