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個別信用購入あっせんとは?――一回ごとの分割契約を安全に取り扱うためのルール

大型家電、自動車などで「クレジット会社を通じた分割払い」を勧められることがあります。
これが個別信用購入あっせんです。
カードを介さず、取引ごとに信販会社(個別信用購入あっせん業者)が立替払いを行い、利用者は信販会社に分割返済します。
割賦販売法ではこの取引を安全に運用するための詳細なルールを定めています。ポイントを整理すると次のとおりです。

1 取引条件の「事前表示」義務

販売店やサービス提供者(以下、販売事業者等)は、勧誘時点で

  • 現金価格
  • 支払総額(手数料込み)
  • 支払期間・回数
  • 手数料率
    を消費者に示さなければなりません。チラシや Web 広告でも同じ情報を併記し、後で「そんな手数料とは聞いていない」という行き違いを防ぎます。

2 支払能力の調査と限度設定

信販会社は契約締結前に例えば利用者の年収・借入状況等を信用情報機関のデータで確認し、個別支払可能見込額を算定します。
1年間に無理なく支払える金額を超える契約は認められません。

3 訪問販売・電話勧誘など「特定契約」への追加チェック

訪問販売やリボ払い付き通信販売など、勧誘行為にトラブルが多い類型では、信販会社は事前に販売事業者の勧誘方法が法令違反(消費者契約法など)になっていないかを確認します。
違法勧誘が疑われる場合、信販会社は申込みを承諾してはいけません。

4 契約後の書面交付とクーリング・オフ

  販売事業者等の書面:契約成立後、商品内容・支払総額・解除方法などを記載した書面を交付。

  信販会社の書面:訪問販売・電話勧誘等で申込みを受けた場合は、信販会社からも契約概要を交付。

  クーリング・オフ:一定の訪問販売などでは8日(連鎖販売業等は20日)以内なら無条件で申込み撤回・解除が可能。解除時、信販会社も手数料や違約金を請求できません。

5 遅延時の解除制限と損害賠償の上限

支払遅延があっても、信販会社は20日以上書面で催告しなければ契約解除や一括請求ができません。
また、解除時に請求できる損害賠償額は「支払総額+遅延損害金」が上限です。

6 抗弁権の接続

利用者は「商品が届かない」「役務が提供されない」など販売事業者等に対して生じた抗弁を、信販会社への支払請求に対しても主張できます。
商品トラブルが解決するまで返済を拒める仕組みで、消費者保護を強化しています。

7 内部管理と行政監督

信販会社は個人情報の適正管理、業務委託先の監督、苦情処理体制などを整備し登録をする必要があります。違反があれば経済産業大臣から改善命令が出され、重度の場合は登録取消しのリスクに直面することになり、事業継続できない可能性があります。


弊社では、包括・個別信用購入あっせん業者登録を目指す事業者に向けて、書類の作成、当局との窓口、登録申請に関わるアドバイス等、さまざまな支援を行っています。

初回の面談は無料となりますので、下記フォームまたは電話よりお気軽にご相談ください。

(著者:徐)