IEC60601 医療機器認証で要求されること? 空間距離・沿面距離について
更新日:2023年6月29日
IEC 60601は、医用電気機器が遵守すべき安全性・基本的性能に対する基準となる技術規格です。
国際電気標準会議(International Electrotechnical Commission:IEC)が公表していて、1977年に第1版が公開されて
から、技術の発達と認識の変遷に合わせて改正されてきております。
IEC 60601-1[医用電気機器−第1部:基礎安全及び基本性能に関する一般要求事項(以降、通則)]は、医用電気機器
一般に適用されるべき共通事項に対する技術基準を提供する規格です。
設計・製造・検証から市販後の監視に至るまで、プロセス全体に係る最重要の規格の一つだといえます。
医用電気機器の安全性と信頼性は、どれだけ良い設計に基づいているかに大きく依存します。
特に、空間距離(AIRCLEARANCE)と沿面距離(CREEPAGE DISTANCE)は、高電圧の環境において極めて重要な
要素です。
(以下、番号と定義は、IEC60601-1の通りです。)
3.19
沿面距離(CREEPAGE DISTANCE)
二つの導電性部分間の絶縁物の表面に沿った最短距離。
(IEV 151-15-50,修正)
医療機器において、適切な沿面距離を維持することは、機器の誤作動、損傷、または患者または医療提供者に危険
をもたらす可能性のある放電、電弧、またはトラッキングの危険を最小限に抑え、電気の安全性を確保し、電気的故
障や短絡を防止するためには、非常に重要なことです。
特定の医療機器に必要な沿面距離は、次のようないくつかの要因によって異なります。
動作電圧:動作電圧が高いほど、電気的な故障を防ぐために、より大きな沿面距離が必要です。
汚染度:粉塵や湿気などの環境汚染のレベルは、必要な沿面距離に影響を与える可能性があります。
汚染度が高いほど、一般的により大きな沿面距離が必要です。
材料:各々の絶縁材はそれぞれ異なる特性を持ち、絶縁材料は必要な沿面距離に影響を与える可能性があります。
過電圧:電力供給での一時的な過電圧の可能性を考慮する必要があります。
例えば、心拍数、血圧、酸素飽和度などをモニタリングする患者モニターを考えてみましょう。本機器は、複数の
電気部品と回路からなり、その一部は患者に接続されている可能性があります。本機器に、絶縁材料で分離された
2つの導電性部品(例えば、回路基板トレースとコネクタピン)がある場合、電気の安全性を確保し、放電に関連す
るリスクを防止するために、製造業者は、これらの導電性部品間の適切な沿面距離を維持するように機器設計を必要
があるでしょう。
3.5
空間距離(AIRCLEARANCE)
二つの導電性部分間の空気中の最短距離。
注記JISC60664-1:2009の3.2を引用。
これは、電気的な安全性を評価するために使用される概念であり、電気機器や電気設備において安全間隔を設定する
ために使用されます。
例えば、電気設備で電気的に接触できる部分は人体に有害である可能性があるため、一定の間隔を維持しなければ
なりません。この時、人体に露出する危険性を最小化するために空気中の最小限の距離、すなわち空気絶縁を利用し
た空間的な距離を維持します。このような空気絶縁距離を空気間隔(AirGap)ともいいます。
空気間隔は、電気設備での安全性を保証するために規定に従って設定されます。規定によっては電圧、電流、高度、
環境などの要素を考慮して空気間隔が設定されることがあります。これにより、電気設備での安全な使用が保証され
ます。
これらの概念を理解し、適切に運用することで、製品をより安全に動作できることを保証し、故障を防ぐことがで
きるでしょう。
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