橋本 真希

稚内→秋田→東京→種子島

気候変動が問題視されるようになってから、かなりの期間が経過しました。
近年でも、異常気象や気温の上昇を日常生活で実感する方は多いのではないかと思います。
では、実際に気温はどれくらい変化しているのでしょうか?

今回、気象庁のデータを用いて、特に顕著な現象が起きている時期の気温変化を検証してみました。
直近で平年値との差が大きかったのは2024年2月中旬です。
この時期の平均的な気温(平年値)と、2024年2月中旬の10日間の平均値を、最高気温と最低気温についてまとめました。

なお、平年値は1991年から2020年の30年間の観測値の平均をもとに算出されています。
今回の対象は、稚内(北海道)、秋田、東京、種子島(鹿児島)、奄美大島(鹿児島)、宮古島(沖縄)の6か所です。

2024年2月中旬の気温の概況

2月中旬の平年値(℃)2024年の2月中旬の観測値(℃)平年比(℃)
最高気温最低気温最高気温最低気温最高気温最低気温
稚内-2.4-6.83.4-3.3+5.8+3.5
秋田3.7-2.110.71.9+7.0+4.0
東京10.21.517.36.5+7.1+5.0
種子島15.39.019.410.9+4.1+1.9
名瀬(奄美大島)18.412.522.315.1+3.9+2.6
宮古島21.316.623.318.3+2.0+1.7
出典:過去の気象データ検索(https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php)
  • 稚内: 2024年2月中旬の気温は、従来の秋田の2月中旬の気温にほぼ匹敵
  • 秋田: 2024年2月中旬の気温は、従来の東京の2月中旬の気温にほぼ匹敵
  • 東京: 2024年2月中旬の気温は、従来の種子島の2月中旬の気温にほぼ匹敵(以下同様)

これを地図上の仮想的な移動に置き換えると、多少の誤差はありますが、稚内は秋田の位置まで、秋田は東京の位置まで、東京は種子島の位置まで南下したのとおおよそ同等になる計算です。

※GoogleMAPから切り取りのうえ、一部加工

興味深いことに、気温の上昇幅は南より北の方が大きい傾向にあります。
いつでもそうとは限りませんが、温暖化は低緯度より高緯度の方が激しい傾向があります。
世界的な気温上昇はここ数十年の傾向として顕著ですが、令和に入ってからはその上昇の勢いが跳ね上がっており、今後の動向に注目が集まっています。
 
今回は、気温上昇が特に顕著だった時期を取り上げましたが、そういった時期が頻繁に訪れるようになってきているのもまた事実であり、このペースで気温上昇が続けば、それが普通になる日も遠くないのかもしれません。


数字は具体的で分かりやすいものですが、例えば気候変動一つをとっても、単に「+〇〇℃」と数字を言われるだけでは実感しづらいことがあります。
数字ばかりにコミュニケーションを頼るのではなく、他の方法も活用して相手にイメージさせやすくするような工夫も重要だと、最近は日々感じています。
 
なお、今回の気温の数字と地図上の仮想移動の両方を示しても実感しづらい人ももちろんいるでしょう。
その場合は、お風呂のお湯の温度など、他の方法で例えることになってきます。
例えば、多少語弊があるかもしれないですが、「お風呂のお湯の温度が普段よりも〇℃上がることを想像してみてください」といった塩梅です(1℃でも結構体感が変わりますよね・・・)。