EUにおける医療機器規制MDRへの移行
投稿日:2020年5月20日
今回は欧州で流通する医療機器に関わってくる、MDDからMDRへの移行に関して概要をお伝えします。
医療機器を取り巻くEU規制
欧州連合(以下「EU」と呼ぶ)において医療機器を流通するには、基準への適合性評価を行い、
それにパスする必要性があります。しかしご存じの通りEUは複数の国からなり、
示すべき適合性の判断が非常に複雑となっていました。
1998年に施行された医療機器指令(93/42/EEC)(以下「MDD」と呼ぶ。Medical Devices Directiveの略)により、医療機器に関する基準がEU内で統一され、
また、CEマーク(MDDへの適合を示す)を付与することでのEU内での機器の流通が容易となりました。
このMDDの施行から早20年以上が経過し、世の中は大きく変わりました。
そして2017年、「技術的進歩、医療科学の変化、法律策定の進展に合わせて変更を施した新たな医療機器規制 (2017/745/EU) (以下「MDR」と呼ぶ。Medical Devices Regulationの略)が提案され、
欧州議会の承認を受け有効となりました。
移行期間
移行期間として、2020年5月26日までの3年間が設定されていましたが、
先日移行期間の1年延長が発表され、2021年5月26日が適用日となることになりました。
それまでの間、MDD及びMDRが併用される形となっています。
MDD→MDRの変更ポイント
MDRはMDDにて定められていた要件はそのまま残っており、それに新たな要件が追加されています。
MDDと比較して、MDRはより厳しくなったという印象です。
適用となる対象品目及びクラス分類についても再分類が行われ、
より広い範囲の機器が規制内に組み入れられています。
安全性及び性能が基準に適合していることを示すための、臨床試験データを含む資料の要求がより高くなり、
さらにその公表などによる透明性の確保が図られています。
一部のクラスにおいては専門家による第三者委員会の臨床評価コンサルテーション手順が導入されています。
また販売後安全性関連活動のトレーサビリディと有効性が強化されています。
さらに、固有機器識別子(UDI)システムの導入により、機器のトレーサビリティが強化されています。
上記のようにMDDからMDRへの変更は、開発から販売後までほぼすべての段階において、
製造業者の負担を増すものだと思われますが、
より安全な機器を求める消費者や規制側にとっては時代の流れから歓迎されるものなのかもしれません。
EUを販路とする医療機器メーカー様にとっては移行期間が1年延長したとは言え、その適用は目前です。
サポート行政書士法人という選択肢
MDRは上記のように煩雑さを増しているため、経験のあるコンサルタントに依頼することを選択肢として視野に入れていらっしゃる方も多いようです。
医療機器の分野は、許認可の中でも特に複雑な分野の一つです。
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参考:
欧州委員会作成「ファクトシート:医療機器の製造業者」、2018/11/20
JETRO 「2017年度海外制度調査 欧州医療機器規則Medical Device Regulation(MDR)概 要」