医薬品、医療機器等法の改正(医薬品等製造業の登録制)
令和元年に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律」
(令和元年法律第63号、以下「改正法」という。)が成立し、令和元年12月4日に公布されました。
改正法の主な内容の中には、医薬品、医薬部外品及び化粧品を業としておられる方にとって気になる内容があります。その改正ポイントを今回取り上げてみようと思います。
改正ポイント
気になる内容とは、改正法においては、一の1の(二)に示されています。改正法における記載は下記です。
医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造工程のうち保管のみを行う製造所について
厚生労働大臣の登録を受けたときは、当該製造所について製造業の許可を受けることを要しないものとした。
(第一三条の二の二関係)
法の改正がおしなべてそうであるように、さらっと盛り込まれたこの条項も、
業界にとって実に大きな影響があります。
「どう変わるのか」「いつ変わるのか」を以降で見ていきましょう。
従来の医薬品等の製造業者の区分
まずは従来、医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造業はどのように管理されているのかを整理します。
現在、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
(以下「医薬品、医療機器等法」という。)では、第13条第1項及び第2項において下記のように定めています。
第13条 医薬品、医薬部外品又は化粧品の製造業の許可を受けた者でなければ、
それぞれ、業として、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具の製造をしてはならない。
第2項 前項の許可は、厚生労働省令で定める区分に従い、厚生労働大臣が製造所ごとに与える。
すなわち、現状では、医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造業は厚生労働大臣の許可を受けなければならないということです。
さらに、医薬品、医薬部外品及び化粧品の製造業者は、医薬品医療機器法施行規則により、下表のように区分されています。
業種 | 呼称※ | 条項 | 条文 |
医薬品 | 特定生物由来医薬品 | 第26条第1項第1号 | 令第80条第2項第3号イ、ハ及びニに規定する医薬品(生物学的製剤、国家検定医薬品、遺伝子組換え技術応用医薬品、 細胞培養技術応用医薬品、細胞組織医薬品及び特定生物由来製品)の製造工程の全部又は一部を行うもの |
放射性医薬品 | 第26条第1項第2号 | 放射性医薬品(前号に掲げるものを除く。)の製造工程の全部又は一部を行うもの |
無菌医薬品 | 第26条第1項第3号 | 無菌医薬品の製造工程の全部又は一部を行うもの(第5号に掲げるものを除く。) |
一般 | 第26条第1項第4号 | 前3号に掲げる医薬品以外の医薬品の製造工程の全部又は一部を行うもの(次号に掲げるものを除く。) |
包装・表示・保管 | 第26条第1項第5号 | 前2号に掲げる医薬品の製造工程のうち包装、表示又は保管のみを行うもの |
医薬部外品 | 無菌 | 第26条第2項第1号 | 無菌医薬部外品の製造工程の全部又は一部を行うもの(第3号に掲げるものを除く。) |
一般 | 第26条第2項第2号 | 前号に掲げる医薬部外品以外の医薬部外品の製造工程の全部又は一部を行うもの(次号に掲げるものを除く。) |
包装等 | 第26条第2項第3号 | 医薬部外品の製造工程のうち包装、表示又は保管のみを行うもの |
化粧品 | 一般 | 第26条第3項第1号 | 化粧品の製造工程の全部又は一部を行える |
包装・表示・保管 | 第26条第3項第1号 | 化粧品の製造工程のうち包装、表示、保管のみを行える |
※呼称は東京都健康安全研究センターのウェブサイトの記載に従った(2020年05月27日時点)。
これからは…
改正法により、上記の管理はどう変わるのでしょうか。
医薬品、医薬部外品及び化粧品の保管のみを行う製造所については、
許可ではなく厚生労働大臣の登録をもって業務を行うことができるようになるということです。
ただし、包装及び表示、すなわちアッセンブリやラベル貼りといった業務を
行うためには引き続き許可が必要な点には要注意ですね。
施行期日はいつなのか
さて、「どう変わるのか」が整理できましたので、次は「いつ変わるのか」を見ていきましょう。
改正法において施行期日は、次のように示されています。
この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとした。
ただし、次に掲げる事項は、それぞれ次に定める日から施行することとした。
(一) 一の1の(二)、(四)の(1)、(五)の(1)及び(六)、2の(一)並びに3の(一)及び(三)
公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日
(二) 一の1の(七) 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日
つまりこういうことです。
規定 | 施行期日 |
改正法(以下を除く) | 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日 |
ただし一の1の(二)、(四)の(1)、(五)の(1)及び(六)、2の(一)並びに3の(一)及び(三) | 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日 |
一の1の(七) 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日 | 公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日」 |
今回取り上げている改正ポイントは一の1の(二)ですので、該当部分を赤字にしています。
公布の日は冒頭でもお伝えした通り、令和元年12月4日ですので、
医薬品、医薬部外品及び化粧品の保管のみを行う製造所が登録制となるのは
令和3年12月4日までの政令で定める日以降ということになりますね。
政令の発出が楽しみです!
参考:改正法の施工期日について補足
改正法のうち、「公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日」を
施行期日としているものについては、すでに政令(令和2年政令第39号)が発出されており、
その施行期日は定められています。
その内容をまとめると下記のようになります。(本文は表の下に転載)
規定 | 施行期日 |
改正法第1条、第4条及び第5条 改正法附則第13条、第15条、第17条、第18条、第21条、第22条、第24条から第26条まで、第29条、第32条及び第38条の規定 | 令和2年4月1日(2020年) |
改正法 | 令和2年9月1日(2020年) |
改正法附則第1条第2号に掲げる規定 | 令和3年8月1日(2021年) |
改正法附則第1条第3号に掲げる規定 | 令和4年12月1日(2022年) |
参考:令和2年政令第39号 本文転載
令和二年三月十一日政令第三十九号
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律の施行期日を定める政令
内閣は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第六十三号)附則第一条の規定に基づき、この政令を制定する。
医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(以下「改正法」という。)の施行期日は令和二年九月一日とし、改正法附則第一条第二号に掲げる規定の施行期日は令和三年八月一日とし、同条第三号に掲げる規定の施行期日は令和四年十二月一日とする。ただし、改正法第一条(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第十五項の改正規定に限る。)、第四条(覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)第九条第一項第二号の改正規定を除く。)及び第五条(麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)第五十四条第五項の改正規定(「覚せい剤取締法」を「覚醒剤取締法」に改める部分に限る。)に限る。)の規定並びに改正法附則第十三条、第十五条(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)別表第一覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)の項の改正規定に限る。)、第十七条、第十八条、第二十一条、第二十二条(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第百十五条の三第一項の改正規定に限る。)、第二十四条から第二十六条まで、第二十九条、第三十二条及び第三十八条の規定の施行期日は、令和二年四月一日とする。
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