自動車運送事業の監査方針の公表 <監査対象事業者・監査対象事業者の把握>
投稿日:2013年9月25日
サポート行政書士法人物流チームの山田です。
平成25年9月17日、国土交通省から「自動車運送事業の監査方針について」として今後の監査方針が公表されました。
平成25年10月1日より適用されることになりますが、今回の大きなポイントは旅客自動車運送事業と貨物自動車運送事業の監査方針が一本されたことです。
現状、小さなものを含めて年間2000件以上の監査がされていますが、今後、国土交通省・各運輸局も本腰入れて監査を実施していくことになると思います。
監査実施の連絡が入ってから準備するのでは間に合いません。今から監査に備えて準備をしていきましょう。
公表された通達に、監査対象事業者と監査対象事業者の把握が具体的に示されています。そのポイントを解説します。
監査対象事業者の詳細について、末尾に通知の本文に列挙していますが、基本的には悪質な事業者をリストアップし重点的に監査を実施していくとしています。
これまで処分が科されている事業者の案件を見ていますと、
「公安委員会、都道府県労働局、道路管理者等からの通知又は通報」
「労働関係行政機関又は日本年金機構から、労働者災害補償保険、雇用保険、健康保険又は厚生年金保険に加入していない旨の通報」
により監査対象となる事業者が多いようです。
・酒酔い運転、酒気帯び運転、過労運転
・放置車両
・運送事業者に加入が義務付けられている社会保険が完備されていない
具体的にはこのようなケースがあてはまります。
また、旅客事業者にあっては、
・新規許可又は事業の譲受の認可を受けた場合
・事業計画の変更により、事業規模の拡大(営業区域の拡大、増車)を行った場合
このような場合は、監査の対象となりますので注意が必要です。
免許取得だけで満足せず、法令に基づいた組織づくりを進めてください。
そして通知の最後には「長期間、監査(街頭監査を除く。)を実施していない事業者」とあります。
許可を受けた後、特に監査が来ていないという事業者様はそろそろ来てもいい頃だと考えて、しっかり備える必要があると思います。
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自動車運送事業の監査方針について
3.監査対象事業者
特別監査及び一般監査は、次に掲げる事業者を対象とする。この場合、当該事故又は当該違反が社会的影響の大きいもの又は悪質なものである場合には特別監査を実施するものとし、それ以外の場合には一般監査を実施するものとする。なお、一般監査を実施した事業者において、全般的な法令遵守状況を確認する必要があると認められた場合は、特別監査に切り替えるものとする。
① 地方貨物自動車運送適正化事業実施機関及びタクシー業務適正化特別措置法(昭和45年法律第75号)第34条第1項に規定する適正化事業実施機関(以下「適正化事業実施機関」という。)や利用者等からの情報、街頭監査や事業用自動車への添乗調査(事業用自動車に添乗(乗車)して運行状況等を確認する調査をいう。)の結果等により、法令違反の疑いがある事業者
② 事業用自動車の運転者(選任運転者に限らず、事業用自動車を運転した者をいう。以下同じ。)が第一当事者(最初に事故に関与した車両等の運転者のうち、当該事故における過失が最も重い者をいい、また、過失が同程度の場合には人身損害程度が軽い者をいう。以下同じ。)と推定される死亡事故を引き起こした事業者
③ 事業用自動車の運転者が悪質違反(酒酔い運転、酒気帯び運転、過労運転、薬物等使用運転、無免許運転、無資格運転、無車検運行、無保険運行及び救護義務違反(ひき逃げ)をいう。)を引き起こした又は引き起こしたと疑われる事業者
④ 行政処分等を受けた際に事業の改善状況の報告を命じられた事業者であって、報告のための出頭を拒否したもの、改善報告を行わないもの又は報告内容から事業が改善されたと認められない事業者
⑤ 適正化事業実施機関が行う巡回指導を拒否した事業者
⑥ 都道府県公安委員会、都道府県労働局、道路管理者等からの通知又は通報により、法令違反の疑いがある事業者
⑦ 労働関係行政機関又は日本年金機構から、労働者災害補償保険、雇用保険、健康保険又は厚生年金保険に加入していない旨の通報があった事業者
⑧ 労働関係行政機関から、最低賃金法(昭和34年法律137号)に違反している旨の通報があった事業者
⑨ 自動車事故報告規則(昭和26年運輸省令第104号)第2条に定める事故であって、同規則の別記様式による自動車事故報告書(以下「事故報告書」という。)の「事故の原因」及び「事故の種類の区分」が同一であるものを3年間に3回以上引き起こした事業者
⑩ 事故報告書、旅客自動車運送事業等報告規則(昭和39年運輸省令第21号)第2条第1項に規定する事業報告書及び輸送実績報告書、同規則第3条第1項の規定により求められた臨時の報告書、貨物自動車運送事業報告規則(平成2年運輸省令第33号)第2条第1項に規定する事業報告書及び事業実績報告書並びに同規則第3条第1項の規定により求められた臨時の報告書(以下「報告書等」という。)について、以下に該当する事業者
ア所定の期限までに報告書等を提出しなかった事業者
イ報告書等に虚偽の内容を記載した疑いがある事業者
ウ報告書等に記載された内容に法令違反の疑いがある事業者
⑪ 事業用自動車の車両火災事故(旅客自動車に限る。)、ホイール・ボルトの折損による車輪脱落事故又は整備不良に起因すると認められる死傷事故を引き起こした事業者
⑫ 新規許可又は事業の譲受の認可を受けた旅客自動車運送事業者(譲り受けた事業と同種類の旅客自動車運送事業を既に経営している事業者を除くことができる。)
⑬ 事業計画の変更により、事業規模の拡大(営業区域の拡大、増車)を行った旅客自動車運送事業者(3年以内に法令違反がない事業者を除くことができる。)
⑭ 長期間、監査(街頭監査を除く。)を実施していない事業者(適正化事業実施機関による巡回指導があった事業者並びに全国貨物自動車運送適正化事業実施機関が行う安全性評価事業による安全性優良事業所に認定されている事業者及び公益社団法人日本バス協会が行う貸切バス事業者安全性評価認定制度により認定されている事業者(以下「安全性認定事業者」という。)を除くことができる。)
⑮ 「緊急調整地域の指定等について」(平成13年10月26日付け国自旅第102号)、「特定特別監視地域等において試行的に実施する増車抑制対策等の措置について」(平成19年11月20日付け国自旅第208号)及び「特定地域の指定及び特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化の推進のために監督上必要となる措置の実施について」(平成21年9月29日付け国自旅第151号)により、監査を実施すべきとされている一般乗用旅客自動車運送事業者
⑯ 「一般乗用旅客自動車運送事業の運賃料金の認可の処理方針について」(平成13年10月26日付け国自旅第101号)に基づく自動認可運賃の下限を下回る運賃により事業を営んでいる一般乗用旅客自動車運送事業者であって、定期的な報告の提出を行わない、又は当該報告内容により法令違反の疑いがあるもの
⑰ 貨物自動車運送事業者の輸送の安全確保義務(貨物自動車運送事業法第17条第1項から第3項まで、第18条第1項又は第22条第2項若しくは第3項に規定する輸送の安全を確保するために遵守すべき事項をいう。以下同じ。)違反が認められた場合であって、当該違反への関与が疑われる元請事業者
⑱ 貨物自動車運送事業者の輸送の安全確保義務違反について、元請事業者に対する下請事業者等からの苦情等により、監査を行うことが必要と認められる元請事業者及び下請事業者
⑲ 道路運送法(昭和26年法律第183号)第35条第1項又は貨物自動車運送事業法第29条第1項の規定による管理の受委託の許可を受けた事業者であって、受託者に法令違反の疑いがある委託者たる事業者
⑳ 監査を受けた後又は②若しくは③に該当する事故若しくは違反が発生した後、行政処分等までの間に事業用自動車等を移動させた事業者及びその移動先事業者であって、監査を行うことが必要と認められる事業者
㉑7.の呼出指導の対象となったにもかかわらず、正当な理由なくこれに応じない事業者
㉒行政処分等を受けた際に、事業の改善状況の報告を命じられた事業者
㉓その他事故、法令違反、事件、苦情等の状況を勘案し、監査を行うことが必要と
認められる事業者
4.監査対象事業者の把握
(1)運輸支局、運輸監理部及び沖縄総合事務局(以下「運輸支局等」という。)は、当該管内の事業者に係る監査端緒に関する情報に基づいて、優先的に監査を実施すべき事業者及び法令違反の状況を踏まえて継続的に監視すべき事業者を適切に把握しておくものとする。
(2)運輸支局等(沖縄総合事務局を除く。)は、随時、(1)により把握した事業者に関する情報を地方運輸局と共有するものとする。なお、把握した事業者が他の運輸支局等の管轄区域内に営業所を有する場合、地方運輸局は当該運輸支局等に対し、当該事業者に係る情報を提供するものとする。
(3)(1)により把握した情報及び(2)により共有又は提供された情報は、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)第5条第6号イに該当する不開示情報であることから厳格に取り扱うものとする。