【新型コロナウイルスで大注目】体外診断用医薬品とは?
投稿日:2021年3月8日
体外診断用医薬品とは?
今回は最近注目されている「体外診断用医薬品」について、
その背景と概要をご紹介します!
体外診断用医薬品の定義
感染症の流行によって、PCR検査などの「体外診断用医薬品」への注目が高まっています。
では、どのような製品が「体外診断用医薬品」となりうるのでしょうか?
旧薬事法第2条第13項によると、 「専ら疾病の診断に使用されることが目的とされている医薬品のうち、
人又は動物の身体に直接使用されることのないものをいう」 とあります。
つまり、あくまで「医薬品」ではありますが、
「人又は動物の身体に直接使用されることのない」ことが 体外診断用医薬品の要件となります。
(ちなみに動物向けにも体外診断薬は存在しますが、監督官庁は農林水産省となります。 承認プロセスも人向けのそれとよく似てはいますが、動物向けの体外診断薬の承認プロセスの方が若干難易度は高い傾向にあります。)
さらに、人に由来する試料を検体とし、検体中の物質等を検出又は測定することにより、
疾病の診断に使用されることが目的とされているもの、という範囲規定があります。
体外診断用医薬品の範囲
体外診断用医薬品として扱える品の範囲は、
①目的②対象③形態の3つの要素に適合するものと定められています。
①目的
以下のいずれかを目的とするものでなければなりません。
・各種生体機能(各種器官の機能、免疫能、血液凝固能等)の程度の診断
・罹患の有無、疾患の部位又は疾患の進行の程度の診断
・治療の方法又は、治療の効果の程度の診断
・妊娠の有無の診断
・血液型又は細胞型の診断
②対象
以下の物質又は項目を検出または測定するもの
・アミノ酸、ペプチド、蛋白質、糖、脂質、核酸。電解質、無機質、水分等
・ホルモン、酵素、ビタミン、補酵素等
・薬物又はその代謝物
・抗原、抗体等
・ウイルス、微生物、原虫又はその卵等
・pH、酸度等
・細胞、組織又はそれらの成分
③形態
・複数の試薬(試薬を含有する紙、布等をふくむ)により、対象に掲げる物質又は項目を検出もしくは測定する形態
⇒いわゆるキット
・単試薬により、対象に掲げる物質又は項目を検出もしくは測定する形態
体外診断用医薬品の背景
体外診断用医薬品は、末尾に「医薬品」とあるように、もともと医薬品の分類にありました。
許可取得のハードルが高く、日本国内での体外診断用医薬品の普及に滞りが見られたため、
旧薬事法下、旧厚生省薬務局長通知(昭和60年6月29日付、薬発第662号)にて、
初めて「体外診断用医薬品」として定義が確立されました。
つまり、「医薬品」の中で「体外診断用医薬品」という新しい枠組みが定義されたことで、
「医薬品」よりも簡易な手続きで許可を取得できるようになったのです。
今後の展開
体外診断用医薬品が多く使用される例として、
血液検査・妊娠検査などの一般家庭で使用できる検査と
院内で行われる画像検査・血液検査などの検査が見られます。
今後、「簡易に」「正確」に行われる検査がより普及し、
体外診断用医薬品の需要は高まっていくと思われます。