指摘事例 第9条 記録の管理
投稿日:2020年5月13日
第9条 記録の管理 |
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省令 |
製造販売業者等は、この章に規定する要求事項への適合及び品質管理監督システムの実効性のある実施を実証するため、読みやすく容易に 内容を把握することができ、かつ、検索することができるように記録を作成し、これを保管しなければならない。 2 製造販売業者等は、前項の記録の識別、保管、保護、検索、保管期間及び廃棄についての所要の管理方法に関する手順を確立し、これを文書化しなければならない。 3 製造販売業者等は、第一項の記録を、第六十八条で定める期間保管しなければならない。 |
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通知 |
第9 条(記録の管理)関係 (1) この条は、ISO13485:2003の「4.2.4 Control of records」に相当するものであること。 (2) 第1 項で作成及び保管することが求められている記録には、次のものが含まれうるものであること。 ア. 管理監督者照査の結果(第18 条第2 項) イ. 構成員の教育訓練、技能及び経験(第 23 条第5 号) ウ. 業務運営基盤の保守業務(第24 条第3 項) エ. リスクマネジメント(第26 条 第6 項) オ. 製品要求事項の照査の結果及びこれに 基づき採った措置(第28 条 第3 項) カ. 設計開発に係る工程入力情報(第31 条第1 項) キ. 設計開発に係る工程出力情報(第32 条第4 項) ク. 設計開発照査の結果等(第33 条第3 項) ケ. 設計開発の検証の結果及びこれに基づ き採った措置(第34 条 第2 項) コ. 設計開発バリデーションの結果等(第 35 条 第3 項) サ. 設計開発の変更(第36 条第1 項) シ. 設計開発の変更の照査の結果等(第36 条第4 項) ス. 購買物品の供給者の評価の結果等(第37 条第5 項) セ. 購買情報(第38 条 第3 項) ソ. 購買物品の検証(第39 条 第3 項) タ. 製品の各ロットについての記録(第40 条 第2 項) チ. 医療機器の設置及び検証(第42 条3 項 ツ. 実施した附帯サービス業務(第43 条 第2 項) テ. 各滅菌ロットについての工程指標値 (第44 条 第1 項) ト. 製造工程等のバリデーション(第45 条第6 項) ナ. 滅菌工程のバリデーションの結果(第 46 条第3 項) ニ. 追跡可能性の確保のための識別(第48 条第3 項) ヌ. 特定医療機器に係る製品の荷受人の氏 名及び住所(第49 条 第4 項) ネ. 製品受領者の物品等の紛失、損傷等の 内容(第51 条 第2 項) ノ. 特別な保管条件(第52 条 第3 項) ハ. 計量の標準が存在しない場合の校正又 は検証(第53 条 第3 項 第1 号) ヒ. 従前の監視及び測定結果の妥当性の評 価(第53 条第4 項) フ. 監視及び測定のための設備及び器具の 校正及び検証の結果(第53 条第6 項) ヘ. 内部監査結果(第56 条第6 項) ホ. 製品の監視及び測定結果(第58 条 第 3 項) マ. 出荷可否決定等を行った者(第58 条 第4 項) ミ. 特定医療機器に係る製品の試験検査業 務を行った構成員(第59 条) ム. 不適合製品の特別採用を許可した構成 員(第60 条第5 項) メ. 不適合の内容等(第60 条第6 項) モ. データの分析の結果(第61 条第3 項) ヤ. 製品受領者の苦情についての調査(第 62 条第3 項) ユ. 是正措置又は予防措置を行わない理由 (第62 条第5 項) ヨ. 是正措置に関する調査結果等(第63 条第5 号) ラ. 予防措置に関する調査結果等(第64 条第2 項) (3) 第2 項の「保護」には、例えば、実際に記録がなされた日が記録されること、記録の様式にはページ番号を付与し、記録の一貫性がわかるような識別管理をすること。誤記のあった場合には元の記入内容がわかる方法で修正されること等が含まれうるものであること。 |
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指摘事例 |
記録の管理・運用の不備(QMS 省令の理解不足) ・記録の識別、保管、保護、検索、廃棄に関する手順が文書化されていることを確認できなかった。 ・購買情報である「注文書」が、品質記録として管理されていなかった。 ・記録の廃棄についての所要の管理方法に関する手順が作成されていなかった。 ・記録を磁気媒体で保管すると規定されているが、当該電磁的記録の管理の方法について手順が作成されていなかった。 ・品質記録の一部は電子媒体で保管されていたが、電子媒体記録に対する保管方法やバックアップ措置、管理に係る具体的な措置方法が手順書で確認できなかった。 ・文書・記録管理手順書記載の記録の保管期間の起点が廃止又は改訂後になっていた。記録であれば、作成後にすべきである。 ・受注及び発注に係る記録が、品質記録として管理対象とされていなかった。 ・測定器の点検記録について、押印又は署名、記録の作成日を確認できなかった。 ・調査品目に係る設計記録の設計の妥当性の確認の実績を記載する欄に、調査日の1ヶ月後に 実施されたことを示す記載がなされていた。 ・記録に作成者のサイン又は捺印が確認できなかった。 ・記録の保管期間の起算日を記録の作成日としていたが、作成日が記載されていない記録が散見された。 手順と実運用に乖離がある ・製造販売業者と登録製造所を含んだ品質マネジメントシステムを運用している被調査組織において、「品質マニュアル」で「記録は記録一覧表に定める。」と規定していた。しかし、「記録一覧表」には製造販売業者の運用の証拠を示すための記録が確認できなかった。 ・製品の検証記録が検索可能な状態で保管されていなかった。 ・自社で品質管理監督文書の対象とした「品質記録管理台帳」が確認できなかった。 ・記録管理対象は「品質記録台帳」に掲載されていたが、自社で品質管理監督文書の対象とした「品質記録台帳」の作成日が確認できなかった。 ・記録作成日及び手順に基づいた承認が為されていない記録事例を複数確認した。 ・購買物品の検証を実施した記録を確認したが、いずれの記録も電子的に保存されており、その保護に係る手順を確認できなかった。 ・製造販売業のプロセスに関する記録の保管期間や保管管理部門が定められていなかった。 ・「記録の管理」では「特定保守管理医療機器以外の医療機器等に係る製品は五年間」を要求している。顧客は記録の保管期限として6 年間又は15 年間を要求していたが、「品質マニュアル」には記録の保管期限を「製品の有効期限に1年を加算した期間」と規定しており、新QMS 省令の要求事項、及び顧客要求事項を満たしていなかった。 その他 ・文書番号の修正が、上からテープを貼ることにより修正されていたが、修正された際の押印又はサインを確認できなかった。 ・「製造記録」を確認したところ、修正液による修正が確認された。 |
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解説 |
コメント ・特定保守管理医療機器以外の医療機器の保管期間が、手順書には5年と記載されているが製品寿命が6年以上の場合。 →製品寿命と有効期間+1年とで、長い方を記載しなければならない。記録自体で保管期限が分かるようになっていることが望ましい。 ・手順の対象となる品質記録が何を指すのか明確にする。 →品質記録一覧を作成する。また、漏れていた記録があるかもしれないのでさらに注意する。 ・記録管理について、保護検索及び廃棄についての手順。 →どの要員が行っても差異が出ないように具体的に規定する。 ・廃棄した文書は求められた期間適切に管理しているか。 →規定することはもちろん、確認することが容易なようにする。 ・保管記録は手順通りの形式が保管してあるか。 →作成・承認の押印はあるかなど、照査の対象でもあるので漏れがないように。 |