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指摘事例 第64条 予防措置

第64条 予防措置

省令

製造販売業者等(限定第三種医療機器製造販売業者を除く。以下この条及び次条において同じ。)は、起こり得る問題の影響に照らし、当該問題の発生を防止するために適切な予防措置を明確にし、採らなければならない。

2製造販売業者等は、次に掲げる事項に関して必要な要求事項を定めた予防措置に係る手順を確立し、これを文書化しなければならない。

 

一 起こり得る不適合及びその原因の特定

 

二 予防措置の必要性の評価

 

三 所要の予防措置の決定及び実施

 

四 予防措置に関し調査を行った場合においては、その結果及び当該結果に基づき採った予防措置の結果の記録

 

五 採った予防措置及びその実効性についての照査

通知

第6条(予防措置)関係

(この条は、ISO13485:2003 の「8.5.3 Preventive action」に相当するものであること。

指摘事例

手順書の不備

・「品質マニュアル」8.5.3(2)2 では、『予防措置は、是正措置(8.5.2)の手順を準用する。』と規定されていたが、その後の文書には『① データの分析』、『② 問題及び起こりうる不適合の明確化』及び『③ 予防措置の要求(予防措置の要否の評価を含む)』と規定されており、予防処置の手順を確認できなかった。

・品質マニュアルでは、予防措置に係る要求事項を適用除外としていたが、適用することが適当でないとは認められない、手順を文書化する必要がある。

・予防措置手順書(■■■)は作成されていたが、品質管理監督システムで定めた要求事項が網羅されていなかった。手順書は要求事項をすべて含めたものとすること。

措置の実効性の評価

・是正措置・予防措置手順書の措置の照査者は、実際に照査を行うものと異なっており、手順と不整合である。

・予防措置に係る手順に「採った予防措置及びその実効性についての照査」とあるが、その実効性についての照査の記録がなかった。

実施の不備

・「予防措置」では、起こり得る問題の影響に照らし、当該問題の発生を防止するために適切な予防措置を明確にし、採らなければならない。」を要求している。顧客クレームや出荷検査不合格の予防処置として、水平展開活動を実施していたが、

1)2019 年〇〇月に部品 a の不具合クレームが発生し、対策を社内に水平展開していたが、製造委託先であるA 社には、2015 年〇〇月まで水平展開していなかった。

2)2019 年〇〇月に出荷検査で、C ラインで製造した製品の付属品(構成部品の現品違いが検出されていたが、B ラインには失敗事例の掲示が水平展開されていなかった。

手順の運用

是正予防処置規定に関して、予防処置票を起票する際は不適合原因を記載する手順になっています。しかしながら不適合原因が記載されていない事例が見受けられました。

解説

コメント

・予防措置の情報源の参考として以下の物があげられる。

→受入れ時に不合格になった購買製品、製品の適合性に影響を及ぼす先に行った決定が誤りであったという証拠、手直しを要求される製品、プロセス内の問題・損失レベル、最終検査の不具合、顧客からのフィードバック、保証の要求、プロセス測定、統計的プロセス管理の文書、傾向から外れているが仕様には入っている結果の明確化、供給者に関する困難 、サービス報告書、特別採用の必要性

・記録内容のポイント。

→他の記録でも同じだが、5W1Hで不適合の内容を記録する。もれなく記録するため、最初から様式を用意しておく。

・是正処置と同様に、予防措置を実施しないなら理由と記録を。

→重大な問題でないなら、「予防処置を実施しない」という判断もあり。その際は「実施しない」理由を記録しておく。

・実施しない判断の根拠の例か以下の通り。

→発生頻度:不適合の異常な発生頻度が予見されるか?

→品質・有効性・安全性:不適合が発生した場合に重大な懸念があるか?

→法的要求事項への対応:不適合が発生した場合に重大な逸脱があるか?

・特定された原因に対して予防措置をとる。

→是正措置と同様、起きた問題の程度に見合うものとすることがポイント。

・実施した予防処置の実効性をレビューする

→是正措置と同様、本当に有効か確認する。実施してみて一定期間、予見された不適合が発生しないことを確認すること。

・手順書に不備がないか注意する。

→要求事項が正しく落とし込まれているか。これが出来ていないと一連の流れ全てが不適合になってしまうので注意。

・実施する際も不備のないように。

→手順書通りに実施し、記録もする。

・是正措置のみで予防措置がとられていなかった、とならないように。

→是正措置は不具合が起きてからの措置、予防措置は未然に防止する措置である。予防措置が活発な製造業者は不具合が少なく、品質も良い。

・予防措置も合理的な期間でクローズするように。

→是正措置同様、時間が掛かるようなら中間報告やクローズの仕方を考えておくことが必要。予防措置はまだ重大な不適合が起きているわけではないので放置が起こりやすい。

・予防完了までの記録が揃っているようにする。

→電話やFAXの記録が正式に記録されるような手順を作る。クローズの段階で記録一式を確認するなど対策もあると尚よし。