大規模倉庫の防火対策の見直し
投稿日:2018年4月18日
こんにちは。
サポート行政書士法人の塚本です。
延べ床面積5万平方メートル以上の新築大規模倉庫を対象として、防火設備の基準を見直す告示を公布しました。新たな基準は平成31年4月1日に施行されます。
今回の改正の経緯は、平成29年2月に埼玉県三芳町で発生した大規模な倉庫の火災において、多数の防火シャッターが正常に作動せず、延焼が拡大し、その消火に長時間を要したことから、国土交通省・消防庁と共同で「埼玉県三芳町倉庫火災を踏まえた防火対策及び消防活動のあり方に関する検討会」を設置し、検討を行いました。同検討会においてとりまとめられた報告書(平成29年6月30日公表)の提言を踏まえて、大規模倉庫を対象として、感知器に係る電気配線の短絡によって、多数の防火シャッターが作動しなくなる状況が発生することを防ぐための対策を講じるため、所要の改正を行うこととしました。
この改正によって、5万平方メートル以上の物流施設を手掛けるディベロッパーには、消防設備の増設や配置の見直しのため、コスト負担増は避けられないものになりそうです。また、現在は新築倉庫が対象となっておりますが、既存倉庫も対象となれば、追加工事の必要が生じるかもしれません。
■告示改正の概要
規模の大きな倉庫においては、①可燃物量が極めて大きいこと、②防火区画として、固定の壁ではなく、随時閉鎖式の防火シャッターが用いられる場合が多いこと、③スプリンクラー設備が設置されていないことなどの状況が一般的に想定され、同様の現象が生じた場合、初期消火が困難となって火災の範囲が拡大するおそれがあることから、5万平方メートル以上の大規模倉庫について、火災情報信号を発信する感知器(いわゆるアナログ式感知器等)を設ける場合は、その電気配線について次の(1)又は(2)のいずれかの措置を講じなければならないこととなります。ただし、スプリンクラー設備等の自動式の消火設備を設けた部分については、この限りでありません。
(1)短絡を防止する措置
電気配線が感知器に接続する部分に、耐熱性を有する材料(耐火電線に用いるマイカ素材のテープ等)で被覆することその他の短絡を有効に防止する措置を講じること。
(2)短絡の影響を局限化する措置
短絡が発生した場合にあっても、その影響が床面積3万平方メートル以内の防火区画された部分以外の部分に及ばないように断路器その他これに類するものを設けること。
埼玉県三芳町で発生した大規模倉庫の火災を受け、倉庫に関する防災・消防の在り方は、また変わっていくかもしれませんね。今後の動きに注目です。
弊社でも、新たな防火対策に沿ったサポートを予定しておりますので、お気兼ねなくご相談ください!