鈴木 徹司

初めての経営理念


3年間のサラリーマン生活を無事終えて、独立したのが、26歳のとき。

一人でコツコツするのが面白くなく、

27歳のときに、元同期の2人と有限会社を設立し、共同経営することにした。

当時300万円が最低資本金だったので、一人100万円ずつ平等に出資した。

「せっかくだから経営理念を作ろうか」

3人で共同経営するんだから、何か一緒に目指す目標を定めようと2人に持ちかけた。

「まず収入を増やしたい」

「もっと稼ぎたい」

20代半ばとしては、ごく普通の感覚だっただろうか、

経営理念は、「各自のポケットのお金を増やすこと」になってしまった。

このまま公開するのはどうか、ということになって、

表向きには「顧客第一」と書いて、額に飾った。

会社は思ったように顧客の支持を集められなかった。

吸収合併で規模は大きくなるものの、

収益は増えず、最終的には分裂することとなった。

お金でつながる関係の脆さを感じた。

「まずお金」と順番を間違えた自らの愚かさを恥じた。