鈴木 徹司

「こゝろ」 (夏目漱石)

鈴木です。

今日は、読書の日となりました。

先日、ふと文学を読んでみたくなり、
両親にそれぞれ「自分に最も影響を与えた本」を教えてもらいました。

母が示してくれたのは、夏目漱石の「こゝろ」。

早速、5時間かけて読んでみました。

半分までは、正直退屈で、休み休みだったのですが、
後半は、一気に読むことができました。

理解できたことと、潜在意識に訴えかけられたことが混在して、
何かボーっとした感じがします。

聡明な主人公は、親友と同じ女性に恋します。

親友の気持ちを知りながら、先を越して、その人と婚約し、

それを知った親友は自殺してしまいます。

恨み言のなかった遺書に、主人公は安堵し、

その親友の気持ちは胸に秘め、結婚生活をスタートさせます。

しかし、負い目は消えることなく、ひきこもり状態となり、

主人公も結局自殺の道を選びます。

人間の純真さ、ずるさ、もろさを心理面から描いていました。

「自分もあの叔父と同じ人間だと意識した時、私は急にふらふらしました。

 他(ひと)に愛想を尽かした私は、自分にも愛想を尽かして動けなくなつたのです。」

ひきこもりとなった原因は、ずるい叔父と自分も何ら変わらないと自覚した時でした。

私は、性善説でもなく、性悪説でもなく、性弱説を採っています。(持論)

人間は、元来良いものでもなく、悪いものでもなく、弱いものだという考え方です。

弱いゆえに、時に人を傷つけ、自己保身してしまいます。

それを自覚して、制御していくことによって、強くもなりうると考えています。

私は人間は弱いと認識することで、私は他人のずるさを赦すことができるようになりました。

他人だけでなく、自分に対しても赦すことができるようになったのは、

私にとって、大きな転機でした。

以来、あまり停滞することがなくなったように思います。

母がこの本を選んだ理由、自分が持論に辿り着いた理由が繋がったような気がします。

思想は受け継がれていくんですね。

今度は、父が選んでくれた本を読む予定です。