「こゝろ」 (夏目漱石)
投稿日:2008年5月18日
今日は、読書の日となりました。
先日、ふと文学を読んでみたくなり、
両親にそれぞれ「自分に最も影響を与えた本」を教えてもらいました。
母が示してくれたのは、夏目漱石の「こゝろ」。
早速、5時間かけて読んでみました。
半分までは、正直退屈で、休み休みだったのですが、
後半は、一気に読むことができました。
理解できたことと、潜在意識に訴えかけられたことが混在して、
何かボーっとした感じがします。
聡明な主人公は、親友と同じ女性に恋します。
親友の気持ちを知りながら、先を越して、その人と婚約し、
それを知った親友は自殺してしまいます。
恨み言のなかった遺書に、主人公は安堵し、
その親友の気持ちは胸に秘め、結婚生活をスタートさせます。
しかし、負い目は消えることなく、ひきこもり状態となり、
主人公も結局自殺の道を選びます。
人間の純真さ、ずるさ、もろさを心理面から描いていました。
「自分もあの叔父と同じ人間だと意識した時、私は急にふらふらしました。
他(ひと)に愛想を尽かした私は、自分にも愛想を尽かして動けなくなつたのです。」
ひきこもりとなった原因は、ずるい叔父と自分も何ら変わらないと自覚した時でした。
私は、性善説でもなく、性悪説でもなく、性弱説を採っています。(持論)
人間は、元来良いものでもなく、悪いものでもなく、弱いものだという考え方です。
弱いゆえに、時に人を傷つけ、自己保身してしまいます。
それを自覚して、制御していくことによって、強くもなりうると考えています。
私は人間は弱いと認識することで、私は他人のずるさを赦すことができるようになりました。
他人だけでなく、自分に対しても赦すことができるようになったのは、
私にとって、大きな転機でした。
以来、あまり停滞することがなくなったように思います。
母がこの本を選んだ理由、自分が持論に辿り着いた理由が繋がったような気がします。
思想は受け継がれていくんですね。
今度は、父が選んでくれた本を読む予定です。