清水 侑

単価を上げる

社内の決裁者として、また個人として日々感じますが、
仕事の単価を上げようという話をします。

単価を上げるとは、よく言われることです。
では、なぜ私たちは、単価をあげるほうがいいのでしょうか。

私たちの仕事に関して言えば、理由は「限界費用」が低くならないからです。
「限界費用」とは、仕事を一つ増やした時に増える費用です。

「限界費用」が低い代表例は、デジタルサービスです。
たとえば、ネットフリックスは顧客が一人増えても、
ネットフリックス側で増える費用はほぼゼロです。
顧客が増えるほど、無尽蔵に利益が増えます。
そのため、最善の戦略は「多くの顧客を集め、離さないこと」です。

逆に、私たちの仕事では「限界費用」は低くなりません。
私たちの仕事で「限界費用」は「案件を一つ増やしたときにかかる時間」です。
案件の増加に比例して時間を失います。
一日は24時間しかないので、頑張ってもすぐに限界がきます。
そのため、「多くの顧客を集めること」が最善の戦略となるとは限りません。

具体的なケースで考えてみます。
皆さんなら、次の2つのケースのどちらがいいですか。

Aさんは、ある仕事を単価10万円で設定し、月間受任数は10件だった。
月間報酬総額は100万円。

Bさんは、Aさんと同じ仕事を単価15万円で設定し、月間受任数は6件に減った。
月間報酬総額は90万円。

AさんもBさんも、1件あたりの仕事では10時間かかります。
どちらがいいでしょうか。報酬総額が10万円高いAさんでしょうか。

生産性が高いのはBさんです。

Aさんは、単価10万円×10件=報酬総額100万円
合計時間は10時間×10件=100時間
よって、1時間の生産性は、100万円÷100時間=1万円です。

一方、Bさんは、単価15万円×6件=報酬総額90万円
合計時間は10時間×6件=60時間
よって、1時間の生産性は、90万円÷60時間=1万5000円です。

たしかに、Bさんの報酬総額はAさんより10万円低いですが、
生産性はAさんの1.5倍です。Aさんに比べて40時間も余ります。
この40時間があれば、早く帰ることができたり、
10万円分は楽に稼げたり、もっと良い仕事の準備ができたりします。

もちろん、競争相手が多く、価格競争になっている仕事は、
単価を上げることが難しいです。

これまでと同じことをやっているのに、
単価だけ上げても上手く行かないことが多いです。

単価を上げるには、方法があります。
それは、次の機会で書こうと思いますが・・・
しかし、確実に言えるのは、

私たちの仕事は「限界費用」が低くなりません。
そのため、「1時間1万円の仕事を、どれだけ速くやるか」、
「1時間1万円の仕事を、どれだけ多く取るか」だけではなく、

「どのようにして、1時間3万円、5万、10万円の仕事を作っていくか」

と考える必要があるのだと思います。