鈴木 徹司

銭湯の思い出

suzuki tetsuji
小関さんの投稿をみて思い出しました。

私は、18歳の浪人時代に、よく祖父を銭湯に連れて行っていました。

予備校にも行っていなかったので、昼間に時間があるし、

気分転換も兼ねてと、両親が提案してくれたのだと思います。

 

祖父母の住む長屋に迎えにいくと、

玄関先の腰掛にちょこんと座って祖父が待っていてくれました。

「てっちゃんが来るん待っとくゆうて、お昼ごろから玄関にいるんや」

祖母が朗らかに笑っていました。

80歳前だった祖父は歩くこともままならず、

やせこけた体で銭湯を楽しみに長い時間待っていてくれたようでした。

 

子供の頃、田舎の田辺では、よく遊んでくれました。

海、山、川と自然に触れる遊びが毎回楽しみだったのをよく覚えています。

祭りではひよこ釣りをしたり、憧れの綿菓子を買ってもらったりして、

思い出すだけで今でもドキドキしてきます。

将棋もよく指しました。

弟も一緒に、「コイコイ」「コケコッコー」とか意味不明な掛け声を掛け合いながら、にぎやかに放課後の時間を過ごしました。

物心ついてからずっと一緒に楽しんできた祖父が、目の前でどんどん元気をなくしていく。

それを意外なほど何の違和感もなく受け入れ、当たり前のように2人での銭湯に行っていました。

 

祖父は自転車の荷台に横向きに乗り、細い腕で私のベルトを握っていました。

お風呂では体を洗いながら、祖父の若い頃の話なんかを尽きることなく話していました。

 

この体験が今の自分にどう影響しているのかは分かりませんが、

忘れっぽい私が今も鮮明に覚えているのには何か意味があるのだと思っています。

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