鈴木 徹司

ワーキングプアの「ふたつの格差」

鈴木です。

物価上昇に合わせて、またワーキングプア問題が脚光を浴びてきました。

働いていながら、生活保護以下の給料しかもらえないという「働く貧困層」をどう救うかという問題です。

問題とされるのは、同じような仕事をしながら、正社員との年収格差が大きいということです。

社会的に、同一労働同一賃金という公平さが求められています。

一方、労働力のグローバル化で、単純労働の賃金単価は低くなる傾向があります。

世界の賃金相場は、時給100円と言われており、先進国の賃金は低下しつつあり、途上国の賃金は上昇しています。

究極的には、世界的な同一労働同一賃金へとなっていきます。

つまり、ワーキングプアには、ふたつの格差があります。

 日本人の正社員と比べた場合の格差 (ワーキングプアは年収が低い)

 世界の単純労働者と比べた場合の格差 (ワーキングプアは年収が高い)

 

資本主義社会では、格差は常に縮小していきます。

賃金格差も同様です。

同じ仕事をしてくれるなら、賃金の安い人を、少し賃金を上げて雇用したいと経営者は考えるからです。

なぜ、ワーキングプアは、正社員との格差が開いていっていると感じるのか?

日本のなかでの格差しか見ていないからです。

ワーキングプアの年収は、世界の単純労働者との格差解消の圧力で、年収低下へと引っ張られているのです。

つまり、世界的な格差解消のために、単純労働の賃金が低下している結果、

正社員との格差が開いたように感じるのです。


日本のなかの格差解消圧力よりも、世界の格差解消圧力のほうが大きく、

そして、その圧力の差は、どんどん大きくなるでしょう。

 (高い)  日本の正社員
          
            ↑
      
       日本のワーキングプア

           ↓↓

 (低い)  世界の単純労働者

日本の労働者が豊かさを享受しつづけるためには、「同一労働」ではいけません。

単純労働の賃金単価は、どんどん下がっていきます。

誰でもできる仕事から、自分にしか出来ない仕事へとシフトチェンジしていく。

それを、社会と企業がサポートしていく。

そんな社会を作りたいものです。