ワーキングプアの「ふたつの格差」
投稿日:2008年7月6日
物価上昇に合わせて、またワーキングプア問題が脚光を浴びてきました。
働いていながら、生活保護以下の給料しかもらえないという「働く貧困層」をどう救うかという問題です。
問題とされるのは、同じような仕事をしながら、正社員との年収格差が大きいということです。
社会的に、同一労働同一賃金という公平さが求められています。
一方、労働力のグローバル化で、単純労働の賃金単価は低くなる傾向があります。
世界の賃金相場は、時給100円と言われており、先進国の賃金は低下しつつあり、途上国の賃金は上昇しています。
究極的には、世界的な同一労働同一賃金へとなっていきます。
つまり、ワーキングプアには、ふたつの格差があります。
日本人の正社員と比べた場合の格差 (ワーキングプアは年収が低い)
世界の単純労働者と比べた場合の格差 (ワーキングプアは年収が高い)
資本主義社会では、格差は常に縮小していきます。
賃金格差も同様です。
同じ仕事をしてくれるなら、賃金の安い人を、少し賃金を上げて雇用したいと経営者は考えるからです。
なぜ、ワーキングプアは、正社員との格差が開いていっていると感じるのか?
日本のなかでの格差しか見ていないからです。
ワーキングプアの年収は、世界の単純労働者との格差解消の圧力で、年収低下へと引っ張られているのです。
つまり、世界的な格差解消のために、単純労働の賃金が低下している結果、
正社員との格差が開いたように感じるのです。
日本のなかの格差解消圧力よりも、世界の格差解消圧力のほうが大きく、
そして、その圧力の差は、どんどん大きくなるでしょう。
(高い) 日本の正社員
↑
日本のワーキングプア
↓↓
(低い) 世界の単純労働者
日本の労働者が豊かさを享受しつづけるためには、「同一労働」ではいけません。
単純労働の賃金単価は、どんどん下がっていきます。
誰でもできる仕事から、自分にしか出来ない仕事へとシフトチェンジしていく。
それを、社会と企業がサポートしていく。
そんな社会を作りたいものです。