鈴木 徹司

セフティーネット

おはようございます。
鈴木です。

セフティーネットをどこにどのように置くのかというのは、難しい問題です。

最近では、原油高騰による漁師さんのストが起きています。

燃料費の負担ほどは、魚のせり価格が上がらず、赤字続きということです。

このままでは、廃業せざるを得ない人も多く出てきそうです。

高齢者が多い漁師は、一旦やめてしまうと、次の仕事が簡単に見つかる訳はなく、
福祉の対象になりかねません。

魚を取り、税金を納めている人が、税金で生活を支えてもらう人になることは、日本社会にとって、大きな損失です。

漁師の言うように、免税や補助金などの早目の業界サポートが必要かもしれません。

一方、これまでの補助金や減税政策が、産業や文化の発展を阻害してきた面もあります。

どうしても、既得権となってしまい、既存の業者や団体を守る反面、新規参入者を減らし、自助努力の芽を摘んでしまいます。

大阪府でも、既得権をゼロに戻す作業は、反対が多く大変です。

セフティーネットをどこに置くのか?

生活ができなくなるという一番下に置かれているのが、生活保護制度です。

この位置にしか、セフティーネットを置いていないと、漁師さんは廃業し、失業し、資産もなくなってから、救われるということになります。

しかし、この位置での救済は、元の生活に戻る可能性をすでに失っています。
ひたすら、救済され続ける存在になりかねません。

漁師さんの転落の一モデルを示すと、以下のようになります。

生計が成立つ漁師

漁をしても生活が赤字の漁師
↓  (※)
廃業
↓  (ハローワークの転職支援)
転職できずに失業
↓  (失業給付)
生活が出来なくなる
(生活保護)

今回は、(※)の段階での支援を求めています。

ただ、この段階での支援は、資本主義社会ではやはり異例のことです。

他の業界も多かれ少なかれ、原油高騰の逆境にさらされており、すべての業界を対象とするわけにはいきません。

自助努力が大原則だからです。

政府が補助するということは、国民全体で負担するということになります。

同じく、原油高騰で苦しむ運送業界の人も、製造業の人も

漁師さんに支払う側になるわけです。

これでは、あまりに不公平な感があります。

もちろん、原油高騰に困っている業界すべてに補助金を出すことは到底できません。

やはり、ギリギリできて、貸付金でしょうか。

漁師さんの思いを十分反映しているとは思えませんが、社会全体の不公平感をなくし、

漁師さんの転落を防止する唯一の選択肢と思えます。

併せて、原価高が取引価格上昇に反映するシステム作りもしておきたいものです。

せりで決まる取引は、買う側の理屈が優先されるので、また同じような苦境を招きます。

市場によるせりだけでなく、小売店や消費者と直接取引きするルートも新たに作って、

価格決定において、漁師さんも対等な取引ができるようになるといいですね。