増野 佐智子

千里の道も一歩から


    一説によると、「学ぶ」の語源は、「真似ぶ(真似る)」だそうです。

確かに、何かを学ぶ時の一番最初の第一歩は、「誰かの真似をすること」です。

特に、初心者時代・新人時代など「経験が浅い時期」は、 誰かの真似をすることで、圧倒的に早く効率良く、良い成長ができることが多いです。
 
私の周りには、真似るのが上手い(成長も早い)人と、そうでない人とがいます。

真似るのが上手い人を観察してみると、以下の2つのことに長けていることに気づきます。 ①(必要な要素に)分解すること ②言葉にすること
 
例えば、仕事で、先輩の面談に同席した時。

「すごいなぁ、自分も早く先輩のような交渉力を身につけるぞ!」

こんな感想で面談を振り返る人が多いですが、 これは、残念ながら、その後の変化・成長があまり見られないパターンです。

どこから/なぜ交渉力が発揮されたのか、まだ交渉力に必要な要素を分解できておらず、 ただただ感心してしまっている状態です。

そして、このパターンは、「どうやって交渉力身につけるの?」と聞くと、 だいたい、何も答えが出てこないか、「面談回数をこなして経験を…」となります。 次に自分がすべきことが、まだ具体的になっていない/言葉にできていない状態です。
 
逆に、その後の変化・成長が見られやすいパターンは、こんな振り返りをしている人。

「すごい交渉力だなぁ、まずは、先輩のように大きな声でハキハキ話すようにしよう!」

このパターンの人は、先輩の「交渉力」が導き出された必要要素を自分なりに分解して、 まずはそのうちのいくつかを実践していく…タイプです。

次にすべきことも、具体的に/言葉にできているので、明確に行動が変わっていきます。必要要素の分解が誤っていたとしても、実践で分かるので、軌道修正もどんどんききます。

「交渉力を身に着けよう」だと、何から着手していいかわからない壮大なお題に見えます。 でも、「大きな声でハキハキ話そう」であれば、さっそく意識して変えられそうですよね。
 
この違いに気づかないまま、先輩との面談同席を何回か終えた時に、 両パターンの間には、結構、大きな違いが生まれていることに気づかされます。

こういう良い習慣を身に着けて、当たり前に繰り返していくことで、 数年・数十年後にはとても追いつけない雲泥の差が生まれていくんです。
 
千里の道も一歩から。やっぱり、そういうことなんです。