鈴木 徹司

会社批判の悪循環

数年前になりますが、当時のある社員に

「ストレス発散に会社の悪口くらい言いますよ。」

と言われたのを覚えています。

「そうか…」
(まあ、いろいろ思うこともあるんだろう。)

私は、かなり批判や悪口には、耐性があるほうだと思っています。

基本的に皆に好かれようと思っているわけではなく、

厳しいことも言うのが役割なので、

ときに誹謗中傷されることも仕事のうちと割り切っています。

それゆえ、会社批判をしている人が目に付いても、特に注意することもなく、

まあ他人は他人、自分の役割をまっとうしようと気にかけてきませんでした。

その社員は、しばらくして辞めていきました。

当然といえば当然。

会社や同僚を批判することは、結局自分の居場所を奪うことに繋がります。

その場で同情したり、同調するふりはしていても、

大抵の人は、文句を言っている人自体の評価を下げます。

文句を言う人は集まってきても、まともな人には、相手にされにくくなります。

私が反省しているのは、その社員に、

会社批判するべきでない、とハッキリ伝えなかったこと。

私は、他人の批判も甘んじて受け入れたつもりでした。

聞き役に徹する上司を演じていました。

批判も受け入れる大きな器の人間でありたいと思っていました。

批判に対し、批判するべきでないと説明するのは、面倒でした。

でも、その考えが、その社員の悪循環を許しました。

自分が良かれと思ってしたことも、結局その人の役には立たない。

よくあることですが、毎回つらいことです。

小手先のことでは、人の役に立つなんて、全然できないと感じた経験でした。