塚本 純平

日本人の「仕事への熱意」は世界最下位

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アメリカのギャラップ社が2023年に発表した「社員エンゲージメント(=仕事への熱意)」は145か国中最下位。
仕事や会社への熱意、貢献意欲などが高い社員はわずか5%。
日本の国際競争力が低下した1つの原因ともされている。
反対にアメリカは30%以上の社員が熱意がある。
何がそんなにも違うのか。

アメリカは「個人の強み」を活かしている、ことが大きい。
強み診断テストをうまく使って、社員の強みを最大限に引き出している。
日本でもそういった類のことはやっているが、アメリカとの大きな違いは、質問の数だ。
日本は100以上の質問をしているところもあるようだが、アメリカはそんなに数多くの質問はしない。

日本企業では何か施策を考えるときに、「あれもこれも」と範囲を広げてしまうことが多い。
経営戦略でも、とにかく網羅的に有力な事業をリストアップしようと努める。
会社のリソースが100あるなら、20個の施策に5つずつばら撒くような経営計画になりがちだ。

一方、アメリカ企業は「選択と集中」が基本だから、100のリソースを3個の施策に集中投下しようと、対象の絞り込みにエネルギーを費やす。
日米でリターンに大きな差がつくのは当然だろう。

アメリカでは、本質からズレた余計な質問は設けない。
ターゲットを絞り込んでいるところに価値がある。

強みを活かした仕事をすることで、自身の能力を発揮でき、会社にも貢献して、仕事も楽しくなる。
残念ながら日本は、弱みを正して、平均的な社員を多く生み出すような企業がいまだに多い。
日本の教育においても同じことをやっている。
これが「仕事への熱意」に関わってくるひとつの大きな要因である。

日本全体で、強みを伸ばすような人材育成が必要である。