清水 侑

憧れのデメリット WBC決勝戦前の大谷選手と漫画「BLEACH」

WBC決勝戦で日本はアメリカを3対2で下し、3大会ぶりに優勝を果たしました。
昨日の準決勝同様、その興奮は文章にするのが難しいほどです。
アメリカが先制点を挙げた直後、村上選手のソロホームランや継投する一流ピッチャー陣など、
見事なプレーが連発されました。最後まで厳しい戦いに耐え抜いたことは称賛に値します。

印象深い瞬間のひとつとして、大谷選手が試合前の円陣でチームメイトに語りかけた言葉があります。

「僕からは一個だけ。憧れをやめましょう。ファーストにゴールドシュミットがいたりとか、
センターを見たらマイク・トラウトがいるし、外野にムーキー・ベッツがいる。
野球やっていれば、誰しもが聞いたことがあるような選手たちがやっぱりいると思うんですけど、
今日1日だけは…。やっぱ憧れてしまったら(相手を)超えられないんでね。
僕らは今日、(米国を)超えるために、やっぱトップになるために来たので。
今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ行こう!」

まさにその通りでした。

実際、その通りに日本のピッチャー陣はアメリカの強力打線を果敢に攻め、
わずか2点に抑え込みました。

この憧れという感情について、漫画「BLEACH」の名言を思い出します。

憧れは理解から最も遠い感情だよ。

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この言葉は、憧れが本質を見失わさせることを示唆しています。

確かに、憧れは良い面も持っています。

憧れる存在に近づきたいという思いは、強力なモチベーションになります。
一方で、憧れに囚われると対象を超えることが難しくなり、
本質の理解が妨げられます。歴史を見ても、弟子が師を超えられない例は数多く存在します。

我々の仕事も同様に思います。

実際、憧れる先輩の仕事のやり方を正解として引き継いで変えることができなかったり、
憧れの先輩を超えることができなくなってしまう場面は何度も目にしています。
憧れの対象から学ぶことは重要ですが、憧れに囚われ過ぎると視野が狭まり、
物事の向上が阻害されることがあります。
日々の仕事や人生において,敬意は懐きつつ、憧れを適切に扱い、
時には憧れを捨て本質を見据えることも大事なことのような気がしています。